遺言書を探す方法

遺言が遺されているかどうかによって、相続の行方は大きく変わります。
そのため、被相続人が亡くなった場合には、「遺言書」を作成していたかどうかを早急に確認する必要があります。

被相続人が生前「遺言書」の保管場所を教えてくれていれば、すぐに見つけることができますが、そうでない場合には「遺言書」を探すことになります。
遺言書を探す方法は、公正証書遺言か自筆証書遺言かで異なります。

公正証書遺言

被相続人が公正証書遺言を作成している場合、平成元年以降に作成したものであれば日本公証人連合会の遺言検索システムを利用して検索することができます。
全国どこの公証役場でも無料で検索することができますので、最寄りの公証役場に後述する必要書類を持参してお手続きください。
なお、遺言書の検索は郵送では手続きができず、かならず公証役場へ出向かなければなりません。
代理人による手続きは認められているので、平日に公証役場へ行くことが難しい方は、ご家族や行政書士等の専門家に代理での手続きをご依頼されるといいでしょう。

(お近くの公証役場はこちらからご検索ください。⇒公証役場一覧

公正証書遺言を検索することができる人

〇遺言者の生存中
 遺言者本人のみ検索することができます。
 遺言者本人以外の方は、秘密保持のため、遺言書の存在の有無を含めてどのような照会もすることができません。

〇遺言者の死亡後
 遺言者の法定相続人、その他法律上の利害関係人は検索することができます。

相続人が検索を請求する際に必要な書類

1 遺言者の死亡の記載のある除籍謄本
2 遺言者と請求者の相続関係(続柄)がわかる戸籍謄本
3 請求者の本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカード等)及び認印
  または請求者の交付から3か月以内の印鑑登録証明書及び実印

 代理人が請求する場合は、①②に加えて
4 請求者から代理人宛の委任状(請求者の実印が押印されたもの)
5 請求者の交付から3か月以内の印鑑登録証明書
6 代理人の本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカード等)及び認印

が必要となります。

手続きの流れ

公証役場に着いたら、必要事項を記入した申請書と戸籍謄本等必要書類を窓口に提出します。
戸籍謄本等は今後の相続手続きで必要となる機会が多いので、手続き後に原本の返却を希望する旨を申し出た方がいいでしょう。

〇検索の結果、公正証書遺言が作成されていた場合
 その公正証書遺言が保管されている公証役場、作成した公証人、作成年月日、証書番号等が記載された書面が交付されます。

〇公正証書遺言が作成されていない場合
 検索の結果「見当たらなかった」旨記載された書面を受け取ることができます。

公正証書遺言が作成されていて、保管されている公証役場がわかれば、その公証役場に対して遺言書原本の写し(「謄本」といいます)の交付請求をし、内容を確認することができます。
遺言書謄本の請求手続きは、遺言書の原本が保管されている公証役場に対して行う必要があります。

〇公正証書遺言検索をした公証役場に遺言書が保管されていた場合
 その場で引き続き遺言書謄本の請求手続きを行って、遺言書の内容を確認しましょう。

〇遺言書が保管されているのが検索をした公証役場とは別の公証役場の場合
 その公証役場まで直接行くか、郵送で、謄本請求手続きをすることができます。その際も、検索請求をする際に必要であった上記の書類が必要となります。

謄本交付手数料は、遺言書のページ数×250円(1通あたり)です。

自筆証書遺言

自筆証書遺言については、以前は公正証書遺言のような検索システムが存在していませんでしたので、遺言者が亡くなられたあと、ご自宅や貸金庫等、大事なものを保管していると思われる場所を探すしかありませんでした。
令和2年7月10日より法務局で自筆証書遺言を保管する制度が始まったことで、遺言者がこの制度を利用して法務局に自筆証書遺言を保管している場合には、法務局で自筆証書遺言の内容等を調査することができるようになりました。


自筆証書遺言書保管制度

公正証書遺言の検索制度と同様に、自筆証書遺言書の保管制度も、遺言書の保管の有無を確認し、保管していることがわかれば内容の証明書を請求する、という手続きの流れになっています。
もし亡くなられた方が法務局に遺言書を預けているのか不明な場合は、まず「遺言書保管事実証明書の交付請求」を行い、遺言書が保管されているか否かを確認します。
遺言者が法務局に遺言書を保管していることがわかっているのであれば「遺言書情報証明書の交付請求」を行います。この証明書には遺言書の写しが記載されているので、取得すれば遺言の内容を知ることができます。
なお、相続人等が「遺言書情報証明書」の交付を受けると、遺言書保管官がその方以外の相続人等に対して遺言書を保管している旨を通知する点には注意が必要です。

法務局でのこれらの交付請求について、詳しい手続きは法務省のホームページをご覧ください。

まとめ

亡くなった方から遺言書について全く何も聞かされておらず、そもそも遺言書を作成しているのかも不明な場合もあります。
そのような場合は、相続財産の調査のときと同様、まずは自宅の金庫、棚、タンスや机など、亡くなった方が大事なものを保管していた場所を探してみます。貸金庫を利用していた場合にはその中で見つかることもあります。
そこで遺言書が見つかれば、公証役場や法務局での手間のかかる調査手続きをする必要がありませんので、まずは亡くなった方の身辺から探されるといいでしょう。

亡くなった方の身辺から遺言書が見つからなかった場合は、公証役場で公正証書遺言の検索をするか、法務局に自筆証書遺言を保管していないか遺言書保管事実証明書を交付請求して調査します。
公正証書遺言と自筆証書遺言のどちらを作成しているかは遺言者でないとわかりませんので、公証役場と法務局のどちらで先に調査をするほうがいいのかは難しい判断になります。公証役場・法務局と自宅との距離、ご本人の性格等、様々な要素を勘案して決める必要があります。



亡くなった方の身辺から遺言書が見つからず、公証役場と法務局のどちらからも見つからなかった場合は、遺言書を作成していないものとして相続手続きを進めていくことになります。


当事務所では、公証役場での公正証書遺言検索のご依頼を承っています。
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